撮影場所&日;岡山県高梁市成羽町、 平成21(2009)年1月2日 撮影機材;Nikon D300+VR18-200mm、 D80+SIGMA10-20mm 現地情報;民家で産子さんが集まって行われる祭礼ですから、事前に当番様と神楽太夫(神光社)様に許可を申請して撮影。 岡山県高梁市成羽町の某民家で七年に一度行われる、荒神様をお祀りする式年祭の『式年神楽』を拝観・撮影してきた。 一年に一度、神社の例祭などで舞われる『宮神楽』は平成20年の10月に拝観・撮影しているが、『式年神楽』は初めてである。 『宮神楽』で奉納される舞の「榊舞」「導き舞」「猿田彦舞」「国譲」「大蛇退治」などは、全て『式年神楽』に包括される。『宮神楽』では、「榊舞」「導き舞」「猿田彦舞」など、舞殿及び天地中を清め祓う舞の基本舞以外の「岩戸開き」「国譲」「大蛇退治」は“神代神楽”と称されて、江戸時代中期に西林国橋(1764年生)によって創作された演劇性の強い舞の演舞が中心となる。 それに対して『式年神楽』では演目に神事、および神事色の強い舞の奉納が加わってくる。室町時代から続くと云われる演劇性が希薄なこれらの神事系の舞は“荒神神楽”と呼ばれ、“神代神楽”が娯楽として加わる以前からの曲であるという。「白蓋神事」「五行幡割り」「剣舞」や「託宣神事」などがそれに相当する。 式年祭は荒神様をお祀りされてる民家の家の中で、神迎えの後に奉納された。民家の八畳間を舞殿として斎行された。ここの荒神様をお祀りされる氏子さんは十一戸だけであるというが、荒神様はだいたい少数戸でお祀りされるものらしい。 今回の舞の奉納は、井原市に本拠がある《神光社 神楽社中》の皆様で、大変に素晴らしく迫力とユーモア溢れる熱演で、時間の経つのも忘れて食い入るように楽しませて頂いた。ユーモアとは“神代神楽”において、舞いだけでなくアドリブの話で拝観者を涌かせる点が舞だけのお神楽とは備中神楽の違う点である。しかしやはり“神代神楽”と“荒神神楽”を両方を同時に拝観すると、前者は農村娯楽として加わったという特徴がしっかりと判る。“神代神楽”の「大蛇退治」で拝観者が興奮さめやらぬ中で始まった“荒神神楽”の「布舞〜託宣」の鬼気迫る緊迫感には、拝観者一同が圧倒されて固唾を呑む静寂の雰囲気に包まれた。 午前8時から始まった式年祭が終わったのは、午後10時半であった。拝観に訪れた甲斐ある素晴らしい舞であった。 ※なお、式年祭当番様、産子様ならびに神光社神楽社中様には大変にお世話になりまして、感謝申し上げます。 《参考文献》 【備中神楽】神崎宣武、光岡てつま;山陽新聞社 【神楽絵巻】備北民報社 《参考HP》神光社 |
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Last Updated 2009-12-29