撮影場所&日; 河内(2004・11・27&28)、中設楽(同12・2&3)、中在家(同12・12) 愛知県北設楽郡東栄町、河内・中設楽・中在家
今回UPした河内と中設楽は東栄町11箇所の花祭の中でも、古事記・日本書紀(記紀と略す)の神話を素材にした舞があるのが珍しい。鬼面であっても須佐之男命、大国主命や猿田彦命である。また中設楽では、大蛇に生贄にされかけた奇稲田姫の舞い、その両親の手那槌命・足那槌命の舞いもある。そして他の集落では『おつるひゃら』の舞いが『岩戸明け』とされてもいる。 尚、「神道花」に変更したのは東栄町では中設楽と河内、豊根村花祭では間黒と坂宇場で、鬼の角を折るとか記紀由来の神々の名前を付けなかった花を「仏花」と称する。
参考文献; |
【辻固め(中在家)】 舞いに先立ち花宿(舞台)周囲を神聖な場所と定める門締めの神事である「辻固め」が五色の御幣や供物とともに奉納される。 この五色であるが、陰陽五行説の五色で、この五行説の「木火土金水」が万物を生成せしめて、かつ変化する事象を表しているとされれる。五色は密教でも五大明王やあるいは如来・菩薩・明王などを現すともされ、陰陽道だけでなくて仏教・密教にも関連していると思われます。花祭は、神道・陰陽道に密教などが複雑に絡まった精神世界です。 |
【一力花】 竃の上に飾られる湯蓋(白蓋)の横の小型の飾りが一力花です。湯蓋には神が宿り村を守りますが、一力花は個人的な祈願をかけて奉納されます。一力花舞が奉納と願掛けされた個人のために舞われ、その後にはこの一力花は自宅に持ち帰って飾られます。 |
(竃脇の御幣;河内) |
(湯蓋・ざぜち・一力花;河内) |
(一力花を持ち帰る;中設楽)
(花ノ舞) |
(四ツ舞;中設楽) |
(三ツ舞;河内) |
(三ツ舞;河内) |
(一力花;中設楽) |
東栄の山に舞う(中設楽) |
【記紀】 記紀の神話で、出雲で活躍する天津神や国津神が河内・中設楽で登場するのは嬉しい。面相は中設楽では鬼であるが。。。 高天原を追放された須佐之男命は出雲肥河の川上に辿り着いた。そこで泣いている老夫婦に出会う。手那槌命・足那槌命である。 八俣遠呂智(大蛇)に今年生贄にされる娘の奇稲田姫を嘆いているのだ。須佐之男命は策を用いて大蛇退治をする。酒を大蛇に飲ませて前後不覚に陥れてから退治するのだ。大蛇に酒を飲ませるシーンが、舞われる。花祭のハイライトである。 |
手那槌命・足那槌命(中設楽) |
奇稲田姫(中設楽) |
八俣遠呂智(大蛇)退治
大国主命(河内) |
須佐之男命(中設楽) |
榊鬼と伴鬼(中在家)
【湯ばやし(中設楽)】 「延喜式」には陰陽道の祓具が神道の祓神事にも用いられ、陰陽道と神道の習合が古来よりみられたようである。 中世において陰陽道を神道の行法・祭祀に取り入れたのが「吉田神道」で、「伊勢神道」にも陰陽道は影響を与えており、花祭成立期の宗教思想にも山伏密教と共に大きな思想的影響を与えたと思われる。 密教でいう五大の「地水火風空」の存在するところに湯が沸き、そこに神々が降臨するのであるが、その神威ある湯を浴びることで神徳を得られる・・・これが「湯ばやし舞」である。が、私は神道の禊祓いを連想させる。穢れを祓い、清く再生していくという意味では、鬼の登場する追儺も修正会も大祓であるし、怨敵退治で穢れを退治する八俣遠呂智(大蛇)退治さえ大祓に通じるものがあると思う。 |
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Last Updated 2010-01-01