■舞楽神事 平成20(2008)年4月29日 ■御田植祭 平成20(2008)年5月11日
【日本書紀】に云う。「古へ、天地未だ剖れず、陰陽の分かれざりし時、渾沌たること鶏子の如く、、」云々。
やがて陰陽が分かれ、神々・国々が生まれていく。陰陽の気は万物の根源の成立元素であり、気の状態は天により主宰されている。
陰陽の大太鼓に見守られた高舞台という空間は、東西南北中央の森羅万象の世界を包括すると同時に、“全てが始動する宇宙空間の象徴”でもある。真清田神社境内において奉納される神楽に舞楽は陰陽の大太鼓の鳴動で、真に清んだ田において今年の豊穣を予祝し祝福するにふさわしい妙なる神聖な調べで空間を満たす。陰と陽の火焔太鼓に描かれた巴は渦巻き、水の象徴である。火焔は、雷。響きは遠雷。魔物を攘する赤い高欄で結界された中の緑の地鋪(うちしき;地敷)は、さながら育ちつつある緑の稲穂の絨毯。鼓面周囲に描かれた剣先紋は、天に向かって聳え立つ山とくに蓬莱山を表す。舞処は緑豊かな山河草木、そして稲穂の豊穣、極楽浄土の具現である。
真清田神社における二つの行事、舞楽神事と御田植祭。この二つは連動していると考える。御田植祭の早乙女は、まるで緑色した地鋪の化身のようであり、穀霊の顕現した姿となって畦で舞う。そして斎田に穀霊自らの霊力を注入していく。新年、元旦を迎えた瞬間に始まった若水祭で献水された御神水。新年の若水、舞楽神事の大太鼓の巴紋(水)、そして斎田へと、各祭礼は生命の根源である御神水を祀る行事の様相も呈している。
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