撮影場所&日;愛知県北設楽郡東栄町月、清平寺、平成18(2006)年8月13日
撮影機材;Nikon D70s、Nikkor VR18-200mm、SIGMA10-20mm
盆におけるいわゆる踊り念仏は、祖霊・諸精霊・無縁仏・政治的非業の死者や戦死者の霊を慰める仏教祭祀様式の踊りである。
東栄町ではかつては17集落で行なわれていたそうだが、過疎化などで現在は9集落のみで行なわれている。東栄町内の盆踊り(踊念仏)でも様式に違いがあり、下記の三様式に分類できる。
1、団扇を背に太鼓を腹にして跳ね込み、篠笛、鉦が伴う。
2、手に持つ飾灯篭の「いなだき」を振りかざし太鼓を振って跳ね込む。
3、締め太鼓を叩き、振り担いで跳ね込む。これに篠笛、鉦が伴う。
今回訪れた月は、1のパターンである。二人の団扇背負いが、「せいへい(六尺くらいの竹の先に色紙を細工して飾り付けたもの」「切子灯篭」や「あげまき(白木綿の飾)」を持った念仏衆や、念仏を唱和する念仏大将に囲まれた中で、供養に踊る。踊りながら、腹に抱かえた太鼓を打ち、跳ねる。長径1m程の団扇には、「南無釈迦牟尼仏」「南無阿弥陀仏」と書いてある。この団扇を背負った念仏踊りは新城市あたりでは“放下踊り”というが、月では“跳ね込み”と、呼び方が異なっている。
午後7時から清平寺の本堂で新盆の供養が行なわれ、踊り念仏は午後7時半からであった。昔は新盆の家を周ったようであるが、現在は寺でのみである。清平寺は花祭の時に花宿となる月の公民館の裏山にあり、車で3分ほど登った山の斜面に建っている。
ここまで道行きで登ったこともあったそうだが、形式的に残っているだけである。ただ、念仏踊りと和賛はしっかりと行なわれていた。
《参考文献》
【東栄町誌(伝統芸能編)】東栄町誌編集委員会
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