撮影場所&日;平成20(2008)年9月20日、岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内川上 撮影機材;Nikon D300+VR18-200mm、D80+SIGMA10-20mm 現地情報;駐車場は特に無し。周辺に食堂、コンビニ無し。 昨夜は「川上ほうろ踊り(岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内川上)」の撮影をしてきた。長さ3〜4mの“ほうろ”と呼ぶシナイ(背中の飾り物)を背負っての太鼓踊りである。実際は雨乞いをする踊りではなく、雨が降って収穫を終えてから神仏への感謝の、いわゆる返礼踊りである。ほうろには綿で直径20cm程の玉が幾つも付けてあり、踊子が踊るとそれが揺れて夜に見るには美しい。この踊りは揖斐川町発行の書籍(※)では、滋賀県の方から伝わったと簡単に記されている(滋賀県の何処かまでは、記載が無い)。揖斐川町には多くの太鼓踊りが伝承されているが、綿で作ったほうろ(シナイ)はここのみである。この坂内川上の集落は、確かに距離的には滋賀県に近い。ただ、現在では八草トンネルが開通しているので滋賀県の木之本へも短時間で行けるが、昔は山越えで難所であったと思われる。それでも琵琶湖に面し、北国や京にもつながる木之本方面とは交流が盛んであったろうから、そちらからの伝播も十分ありえよう。しかし私が注目するのは太鼓踊りそのものの伝播ルートではなく、ほうろの外見である。木之本方面など湖北地方では拙HPでもUPしてあるように、多くの「オコナイ」という民俗宗教儀礼が無数に行われている。そのオコナイで奉納されるマイダマ(米玉;餅花)に、このほうろが似ているように見える。マイダマは稲にたわわに実った米を表現しているという。むろん農耕予祝である。湖北の一部では養蚕に例えてマユダマと呼ぶ場所もあるが、本源は稲である。ほうろは綿で玉が付いているからといって、目的を養蚕に結びつけるのは安易過ぎよう。原点に帰って太鼓踊りの主目的を考えるなら、あくまで雨乞いの返礼だから、稲作に結びつく考えである。であるからオコナイに用いられるマイダマという呪具が形を変えて、川上の太鼓踊りのほうろになったと考えてもよいのではなかろうか。 拙HPの「オコナイ」にUPしてあるように、オコナイでマイダマは餅花とも云う。木の枝に餅をくっつけて、餅花にする。川上ほうろ踊りのほうろに実際に餅をくっ付けたら、重くて踊れないのは云うまでもない。 太鼓踊りは、19時50分頃から3時間、22時50分くらいまで三箇所で奉納された。 (※)【郷土読本 揖斐川町の祭りと踊り】揖斐川町郷土読本編集委員会 |
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Last Updated 2010-01-01