撮影場所&日;福井県三方郡美浜町菅浜、平成23(2011)年8月15日 菅浜の海岸で、お盆の精霊を船に乗せてお見送りする行事が行われる。 夕刻、竹と萱と藁で組みあがった長さ5〜6m、巾3〜4mの船に多くの人たちが施餓鬼幡や切り紙や傘で荘厳されていた。完成すると、地元の人たちが紙包みを持って船にやってくる。受け取った人は、床部分の竹組みに紐で結びつける。各家庭のお仏壇の供物であった野菜やお菓子などを持参されているのだ。これは初盆のある家だけでなく、どの家も供物を供することが出来るのである。 やがて念仏が唱えられる中、船が浜を離れていく。船にはウリオイと呼ばれる、初盆のある家の男性が乗り込まれる。船は湾内を周回後、湾外へ曳航されていく。遠く沖に出るとウリオイは精霊船から曳き舟に乗り移り、精霊船が放たれる。どこへともなく精霊船は漂い、船に乗せられた精霊は極楽浄土へ昇っていく。 山上他界ではなく、海上他界の観念は海の民の発想であることが特徴だが、さて実際には海の彼方が浄土だったのだろうか。中世は云うまでもなく弥生の頃から半島や大陸と交易のあった若狭の民が、船を漕ぎ出せば浄土があるという地理感であったとは思えない。むしろ船が沈みことで消えてしまう、海底他界という観念ではなかったかと思う。 (ちなみに、精霊迎えの行事は無いという) |
上写真;浜で精霊船を造る。 |
上写真;お仏壇の供物を精霊船に乗せてもらうように、託す。 |
上写真5枚;浜から見送られ、彼方へ消えていく精霊船。 |
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Last Updated 2011-09-15