日本!(念仏・風流)
No.35 鹿ん舞 (徳山盆踊り)
静岡県榛原郡川根本町徳山・浅間神社、 平成25(2013)年8月15日撮影

徳山の盆踊は鹿の面をつけて舞う「鹿ん舞」、少女が小唄にあわせて踊る「ヒーヤイ」、大人の「狂言」で構成されている。 徳山防災センター内の鹿ん舞由来を見ると、元亀年間(1570〜1573年)頃、4〜6月と長雨続きで農作物が不作となった。僅かに出来た作物も獣に食い荒らされて、村が荒廃した。よって村人が愛宕地蔵堂に集まって獣から農作物を守る手段を相談したという。

鹿ん舞は、長い角を持つ鹿頭をつけた雄鹿一人が先頭に立ち、後に雌鹿二人が左右に並んで続き、両手には長さ30Cmの紅白のだんだら巻きの棒を持ち、前かがみになって回しながら囃子に合わせ踊る。この踊りは由来書によれば、昔作物を荒らす鹿などの獣を追い払い、豊作を祈ったことから起こったと伝えられる。 太鼓踊りのように太鼓を持つことなく、お囃子は別に演奏される。舞という名称が付いているが、跳躍を伴うから踊りと云った方が良いだろう。 前屈みの姿勢から一気に跳躍で駆け出すが、これで実在の獣を追うという実態は有り得ないことで、むしろ目に見えない厄事を祓除するために疫病や悪霊を威嚇する所作と考えられるだろう。 鹿の化身はオス一頭、メス二頭である。余談だが、鹿は一夫多妻だという。メスが二頭出るのは多妻性だからではないだろう。計3という奇数が瑞祥だからであろう。

 ヒーヤイは、踊り手が小・中学生の女子で、小唄に合わせて舞う、古歌舞伎踊りの初期の形態を残した舞である。お囃子は小太鼓・横笛。ヒーヤイと呼ぶのは、唄の終わりに「ヒーヤイ」という囃子言葉がついているためである。

狂言は成人男性によって行われる。「頼光」を拝見したが、喜劇的風刺を扱った能狂言の狂言のような内容ではないが、原曲は能の「土蜘蛛」の一部のような内容であった。

(次第)
1.鹿ん舞、2.神よせ、3.四節おどり、4.神すずしめ、5.鹿ん舞、6.桜花、7.ぼたん、8.狂言「頼光」、9.神すずしめ、10.鹿ん舞、11.桜花、12.ぼたん、13.狂言「新曽我」、14.鹿ん舞、15.かぼちゃ踊り、16.ひきは

※お世話になりまして、徳山の皆様に感謝申し上げます。

上写真5枚;昼間、徳山の街中を道行きする。道行きの途中では、大井川鉄道の駿河徳山駅の駅前広場でも舞う。折りよく「SL君」という 仮装塗装されたC11型蒸気機関車牽引の列車が、駅に臨時停車した。

上写真3枚; 行列は、露払・御神輿・牡鹿・牝鹿・ひょっとこ、囃子方、高張提灯、囃子方(2)、神職、氏子総代、踊り子。
浅間神社の狛犬は、犬ならぬ鹿ん舞である。

上左右;舞殿(神楽殿)周囲を鹿ん舞が周回する。

上4枚;ヒーヤイ。

上;狂言「頼光」。


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Last Updated  2013-08-27