日本!(念仏・風流)
No.4 山畑のかんこ踊り(勝手神社神事踊)
撮影場所&日;
撮影機材;
現地情報;
三重県伊賀市山畑、勝手神社:平成18(2006)年10月8日
Nikon D70s+SIGMA10-20mm、D80+VR18-200mm
名阪道・下柘植IC南4Km、神社裏に駐車場有、周辺に食堂など無
御旅所出発13時で神社まで約1Kmを還御。踊り14〜16時
山畑のかんこ踊り(神事踊)の中踊(踊手)の外見上の大きな特徴は、背にオチズイと呼ぶ巨大な花傘を背負い、胸に締太鼓を抱いていることだろう。三重県に分布する「かんこ踊」は地域によって大きく二つに分かれる。北部の雨乞い踊と、南部の念仏踊である。この山畑の「かんこ踊」も雨乞いの農耕儀礼的なものと思われているが、農耕すなわち田楽ともリンクしつつ、更に念仏踊にもリンクしていると実見して思った。
中踊(踊手)らと共に神幸道行きには、馬の作り物や鬼面も同行する。馬は農耕に欠かせず、代かきをし荷駄を引く。鬼は田の見張りだという。田に害虫やあらゆる邪悪的天災が入らないように見張るということだろうが、念仏踊でも祖霊の祟りが怨霊となって田に禍を成すと考えられており、故に死霊鎮魂の念仏踊が行なわれることを思えば、この神事踊も念仏踊にもリンクしていると考えられよう。前記したオチズイという花傘であるが五来氏は、かんこ踊で使う鞨鼓の直接の源流は、怨霊鎮撫の原初的踊念仏の「やすらい花」であろうとしている。私的には、この行事の花は農作物の花とも見えるであろうと思う。神社での御田植神事で、巫女の八乙女が田舞を舞うが、穀霊が憑霊した姿の化現であろうと連想したことがあるが、中踊(踊手)が背負う花も穀霊の憑霊を現した農作物豊穣の予祝と思えるだろう。
一つ面白い点がある。左写真の球状の作り物(長辺約5Cm)を多数、背のオチズイから垂らしている。これは猿だという。御旅所の祠には三猿の置物があり、庚申の祠である。庚申信仰は、治病・延命、貧困、災難除けなど民の願いを受け止める民間信仰である。これが加味された作り物であろう。道行きの先頭には猿面が先導するが、これは庚申というより神使いとしての猿の霊力を露払いに用いたのであろう。
踊は6人の踊手が、笛と太鼓と歌に合わせて踊る。踊るというより、ゆったりと旋回する動作で舞う、、、オチズイが重いだろうから、動きが制限される。旋回する瞬間にオチズイという花が開き、美しい。踊の種類は20種あるというが、所作は似ている。歌の内容は明治時代に15社を合祀した前の御祭神の風教や御祭神の霊験を歌い読み上げている。
当日は強風の日で、道行きは特に大変そうであった。道行きを追っ掛け、そして勝手神社で撮影させて頂きました。

《参考文献》 五来重【踊り念仏】平凡社選書、P.190 & 現地パンフレット

上左右写真;道行き

上左写真;笛吹き(道行き)、上右写真;楽太鼓打(勝手神社にて)



上5枚写真;勝手神社にて中踊


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Last Updated  2010-01-01