撮影場所&日; | 三重県伊勢市、伊勢神宮春季神楽祭 平成18(2006)年4月30日 愛知県名古屋市、熱田神宮舞楽神事 平成18(2006)年5月1日 |
伊勢神宮と熱田神宮での舞楽【胡蝶】の奉舞を、二日連続で奉拝することができました。
左右の大太鼓前の高舞台で、ほぼ順光の下での伊勢神宮の舞い。深い熱田の森の新緑に囲まれた逆光気味での熱田神宮の舞い。いづれも舞台環境に適した光の下での舞いは、まさに神域内の神々しい感銘を与えて下さいました。
舞楽は舞人さん、楽人さんが感動の根源の全てであり、私はシャッターを押してるだけというたわいなさです。しかし当日に舞いを御覧になられた方には感動を思い出してもらえ、まだ【胡蝶】を拝見したことが無い方には、この舞いを見てみたいと思ってもらえる写真が目指すところです。私自身がファインダー越しに見る舞に感動し、大好きな雅楽の調べに恍惚としながらシャッターを切っているわけですが、写真として結実した画像は1/250秒という時間であり、実際に舞を拝見していた人でさえ意識に残らない一瞬です。その一瞬に舞の美しさを凝縮することは、撮影者として実にスリリングです。
撮影は、二台のカメラを持ち替えて写しています。どうぞ御高覧下さい。
【胡蝶】
高麗楽。「教訓抄」によると、延喜6(906)年8月、太上法皇が童相撲を御覧の時に作った曲。藤原忠房が作ったとも云われる。あるいは藤原忠房が楽を、舞を敦実親王が作ったとも「楽家録」にある(※)。舞人4人で別装束、天冠、童髪、とり花、羽根をつけて舞う。左方の童舞の【迦陵頻】の番舞(ワンセットということ)である。羽根や胸部分の飾は、それぞれ柄が微妙に違う。蝶が花から花へと飛び遊ぶさまの表現は、誠に可憐で春らしい曲です。
(※)『雅楽事典』P.159、音楽之友社
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