撮影場所&日;京都・祇園巽橋や花見小路一帯(祇園甲部)、平成19(2007)年8月1日
撮影機材;Nikon D80+VR18-200mm
8月1日は「八朔」と云われる。「八月朔日(ついたち)」を略したのである。
神社では6月・12月の晦日に大祓が斎行されるが、もとは民俗宗教的には月ごとに祓いが行なわれたらしい。八月一日(八朔)は、「八朔の節句」とも云われ、地方によっては形代を流す行事を行なう地もあるようだ(※1)。この「八朔節句」は、「たのも節句、たのみ節句、たのむ節句」などとも云われる(※2)。なぜ「たのみ」かと云うと、この日の頃は農耕的には旧暦では「田の実」が成ってくる時期である。故に新穀の豊穣を祈る(頼む)日であり収穫した物を贈る贈答儀礼の日と転化した。祇園花街では8月1日は、芸舞妓さんが日ごろお世話になってらっしゃる芸のお師匠さんや、お茶屋さんにお礼を兼ねて「頼み」に挨拶周りする日となった。
午前10時頃から正午過ぎまで、祇園甲部一帯で芸舞妓さんの挨拶周りの姿が拝見できる。
平成19年1月現在、五花街(祇園甲部、祇園東、先斗町、上七軒、宮川町)で舞妓さんは76人、芸妓さんは196人いらっしゃり、御茶屋さんは165軒あるそうだ。そのうち祇園甲部では、芸舞妓さんは113人という(※3)。全員の芸舞妓さんが挨拶回りで出ていらっしゃるか不明ながら、とにかく日ごろお目にかかれない程の大勢の芸舞妓さんが行き来される。
芸舞妓さんは黒紋付で、後姿の舞妓さんの襟足は三本筋であるが、この襟足と黒紋付はお正月と八朔の日のみの正装だそうだ。
四条通り方面から最初にお師匠様の井上邸方面に歩かれる芸舞妓さんは巽橋を通られるということで、通過される午前10時頃には巽橋周辺にはその姿を写そうと、アマ・カメラマンが殺到する。総勢200〜300人ほどか、、。一度巽橋で撮影した後は井上邸や巽橋周辺、あるいは花見小路一帯にバラけるが、それでも芸舞妓さんが入られた御茶屋さんの前にはアマ・カメラマンの人垣ができる。
私は今回、初めての芸舞妓さんの撮影であった。祇園一帯を右往左往しただけの感もあり、また来年に納得できる写真が撮影できるようにリベンジしたい。
《参考文献》
(※1)【民間暦】宮本常一、講談社学術文庫
(※2)【年中行事儀礼事典】川口謙二、池田孝、池田政弘、東京美術
(※3)【未知の京都 舞妓と芸妓】相原恭子、弘文堂
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