撮影場所&日;滋賀県伊香郡木之本町赤尾、平成21(2009)年2月15日 撮影機材;Nikon D300+VR18-200mm、D80+SIGMA10-20mm 赤尾のオコナイが社参されるのは午前9時半過ぎで、布勢立石神社さんでの祭典は午前10時からである。この日、社参には間に合わないが、せめて拝殿に奉じられた御鏡餅とオカワが拝見できたらと思って駆けつけた。赤尾の集会所に着いたのは午前10時54分、氏子さんらが集会所に戻って来られるところであった。伺うと、既に御鏡餅もオカワも撤下して、既に御鏡開きを行うとのこと。承諾を得て、中へ入ってみた。御鏡さんは既に開かれている最中で、オカワは外面の藁が解かれていた。オコナイは場所によっては午後まで拝殿に奉じたままだったりするが、赤尾では直ぐに撤下されるのだ。今回、赤尾のオコナイでどうしても拝観・撮影したかったのは、オカワである。オカワとは、御鏡餅の型取りをする曲げ物である。このオカワを神聖視するオコナイが、伊香郡の一部の地域にあって、ここ赤尾もそうである。オカワは神仏霊の宿ることになる御鏡餅への依代として、そして当屋の象徴として継承される必須ウアイテムであるのだ。しばらく解体されるオカワを見ていたら、今度は表面の藁を解いた後に、新しい藁を巻きつけ始められた。それだけでなく、エビも藁で編み始められた。訊ねると、これから“トウワタシの儀”、すなわち今年の頭屋さんから来年の頭屋さんにバトンタッチの儀式があるとのこと。“トウワタシの儀”の前に、オカワを新しい状態に仕上げておくのだ。そして興味深いことは、そのオカワに二本の棒を結び付けるのだが、これは修正会や修二会などの牛玉の串である。この串に、和紙に氏子の名前を墨書きして巻きつける。神聖なオカワに結び付けることで牛玉宝印とするのだが、世が世なら、村の血判状のようなモノであろう。村民の団結の証、そして団結を破る者への神罰、そして神仏の御加護こそ、血判状的牛玉宝印の本質である。村の氏子の名前を結びつけたオカワは、御鏡餅の型を作る曲げ物として実際に使われるかと思ったら、それ自体がご神体に近い存在ゆえ象徴としてで、実用はしないと分かった。 出来上がった新しいオカワは、新頭屋さんの家へ新旧の頭屋さんと神職さんが持参され、そこで頭屋渡しの儀式が行われた。添付写真は、“トウワタシの儀”の写真である。。 このようにオカワを神聖視するオコナイの拝観・撮影は初めてであり、社参には間に合わなかったが大変有意義であった。社参と神社拝殿に祀られたオカワは、来年には拝観したく思う。 ※赤尾の皆様にはお世話になりまして、御礼申し上げます。 |
上左写真;牛玉宝印を調製する。 上右写真;新当屋へ新しいオカワを持って向かう。 |
上写真3枚;新しいオカワを祀り、“トウワタシの儀”を新当屋となる民家で行う。 |
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Last Updated 2010-01-01