撮影場所&日;滋賀県草津市下寺津田江、平成23(2011)年1月9日 下寺津田江の下寺天満宮に奉納される祭礼を、地元では「神事(じんじ)」と呼んでいる。 タイトルに(番外)と付けたのは、鮒鮨が祭礼の中心的アイテムとなるこの神事をオコナイのジャンルにUPすべきか、あるいは近江の祭にUPすべきか迷ったからである。しかし本質は湖北や甲賀地方におけるオコナイに共通すると感じたことから、オコナイにUPした。ではオコナイとは何か、という疑問が再び生じる。オコナイである必要最小限の儀礼における構成最大要素は、御餅である。オコナイを記した古い記録として挙げられる『今昔物語』の巻第十九「以仏物餅造酒見蛇語第二十一」には、オコナイの様相が述べられている。当時、村々では国家鎮護万民安楽のために修正会が行われていて、そこでは御餅が供えられ、修正会は行(オコナイ)と呼ばれていたというのである。オコナイでも特に湖北におけるオコナイでは、御餅は撤下された後に村民に均等に御鏡開きして分配される。御餅が神仏のパワーを宿した生命力の源としてだけでなく、同一の御鏡餅を食べあうことで、村民の結束と運命を共にする決意の証とするのである。御鏡餅が、そのいわゆる血判状的な連帯意識の共有化に都合良いアイテムたるわけであるが、その連帯意識の共有という意味で、今回の「下寺津田江の神事」はオコナイに匹敵する意識と行動が見て取れたので、オコナイにUPした次第である。御餅の代わりに、ここでは鮒鮨が用いられる、その違いがある。 ここ下寺天満宮での神事(おこない)では、弓矢を使った歩射神事もある。湖北におけるオコナイで歩射が行われるのは丹生川上流域において存在するようであるが、甲賀地方のオコナイにおいてはまま有る。オコナイに鬼追いあるいは追儀儀礼が入ってきているのも、長いオコナイの歴史の中での複雑な諸儀礼の混ざり具合をみるようで、興味深い。 尚、ここ下寺津田江における神事は、古来からの風習習慣をかなり厳密に守ってらっしゃるようで、感銘を受けた。例えば歩射神事の的を描くのは、藁束を用いたり、弓は竹を切ってきて使う、弓弦は藁を編んで作る等などである。 ※ 下寺津田江の皆様には御世話になりまして、どうもありがとうございました。 |
上写真左;歩射神事用の的を作る。上右写真;直会用の ふなずし。 |
上写真3枚;神事の午前中の準備が済み、直会。 |
上左右写真;午後からの準備では、左義長用の穂長や、弓矢を作る。 |
上写真3枚;天満宮へ、ふなずしを奉持し社参し供える。 |
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上写真4枚;一献からの座で、ふなずしや京飯が出される。 |
上写真;引継ぎ式。 |
上写真;神事後、左義長用の穂長が配られる。左義長の日に奉火に奉げるのである。 |
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Last Updated 2011-02-07