日本!(オコナイ)
No.41 余呉町 国安
滋賀県長浜市余呉町国安、 平成24(2012)年1月撮影

国安のオコナイでは、献鏡の前日に御鏡搗きや牛玉宝印の準備を行い、翌日の社参に供える。
ここのオコナイの特徴であった、御鏡餅を背負っての社参は平成14年の簡略化で廃止され、今では輿に載せていく。
ただ、御鏡餅に先搭では十六花弁菊の御紋章、そして後搭では紅梅を描くことは変化ない。そしてこの地では「ゴーのバイ」と呼ぶ牛玉宝印などが準備されることも変わっていない。ある意味、簡略化されていても核心部分は伝承されていることになる。
先搭の御鏡餅に描かれる御紋であるが、献じる草岡神社の御祭神に関連があろう。御祭神は造化三神のうち、高御産巣日神・神御産巣日神そして菅原道真である。先搭の菊の御紋は先の二柱を現し、紅梅はもろに菅原道真公の紋である。このように神道の神々に準じた御紋を描くということは、あるいは神仏分離以前はどうであったかと興味深い。そして興味深いことが、もう一つある。この地では棒のことをバイと呼ぶそうだが、柳の木を用いる。柳は直ぐに根を張るから、豊穣に通じるのだという。そして現在はあまり行われないそうだが、オコナイが終わった後でこのゴーのバイを田の水口に立てる「田打ちの儀式」を以前は行っていたという。ゴーのバイ、杉葉、譲り葉を水口の東方に立てて礼拝するのだという。東方=太陽&田=稲 とくれば、伊勢神宮の内外宮の御祭神に一致するが、それは民の祈りを集約した形の御祭神が内外宮に一致するからだと思っている。私的には、この田打ちは他の地域の山ノ神の祭礼に一致すると考える。国安においても夏には野神祭があるのだが、野と山の神の循環説など無く、野神祭があっても山ノ神祭は無い。しかしオコナイが山ノ神祭に相応する祭礼なのだろうと推測している。

※国安の皆様にはお世話になりまして、御礼申し上げます。

上写真左;社参前日の御餅搗き。太鼓で囃しながら搗く。
上写真右;搗かれた御鏡さん。背後に先・受搭の菅原道真公の掛軸。

上写真左右;社参前、ゴーのバイなどで荘厳された御鏡餅。

上写真;鉦、太鼓、笛で囃しながら練り込む。

上写真;草岡神社ご本殿に献じられた御鏡餅や、ゴーのバイ。

上写真;先搭、受搭の引継ぎの盃ノ儀。

上左写真;御鏡開き、上右写真;左からゴーのバイ、杉の葉、譲り葉。


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Last Updated  2012-01-20