奈良県吉野郡野迫川村北今西、 平成25(2013)年1月2日撮影 野迫川村には弓手原と北今西の二つの集落でオコナイがされていたが、弓手原は現在中止されており、北今西のみが5年ほど前から4日から2日に日付変更してオコナイをされている。 五條市から国道168号線を南下して大塔村小代から野迫川村へ入ったが、温かい日にもかかわらず日陰には先月の雪が凍結して残り、急坂と急カーブの隘路を辿って昼過ぎに北今西に着いた。オコナイがされる寿楽院では、準備の真っ最中であった。 尚、オコナイの翌朝には積雪となり、この地域を訪れるには冬用タイヤは必須(場合によってはチェーンも)である。 北今西のオコナイの特色は荘厳と、内容にみられる。
(荘厳の特異さ)
(内容の特異さ) ※ 上記のように、特色あるオコナイを拝見できましたこと、北今西の皆様に感謝申し上げます。 |
■準備 |
上左;カズラの輪を調製する。 上右;タテバナ、フクバナという造花を和紙で作り糊で貼っていく。 |
上左;堂を結界するジョウジキと称する切り絵を作製。 上右;モリモノという蜜柑と里芋を差した御神饌兼花。 |
■荘厳の数々 |
上左;掛け餅。鏡のように縦にして吊るす。 上右;住人によって奉納された一升丸餅と宝印。 |
上左;出来上がったカズラ。フクバナも差してある。 上右;タテバナ。 |
上;祭壇など堂内風景。 |
■ヤクイリ(元服式) |
上左;役入りの儀、 上右;盃ノ儀。 村の衆が見守る中、村入りを認めてもらう挨拶と承認の盃が酌み交わされる。 盃ノ儀式の後には初座という寄り合い会合が行われる。その中でクジを引き、伊勢代参と熊野代参人が選出された。 伊勢講、熊野講の名残であろう。 |
■オコナイ |
上3枚;宝印の儀式。今年役入り衆になった若者が棒に付いた宝印を持って振りながら堂内を三周する。先端には宝珠あるいは熊野那智大社の72羽の八咫烏を用いた「那智瀧宝印」と思われる柄が磨耗して認められた。かつては版として捺していた時代があったのかもしれない。 宝印は牛玉宝印と呼ばれ、護符あるいは祓い具という呪具の一種と思えばいい。 |
上;役入り報告の儀式。役入り衆を神仏に報告する儀式で、当屋文書(トウブン)を総代が読み上げる。 |
上;読経。般若心経を唱える。 |
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上4枚;カズラ切り。般若心経を唱え終わるとカズラの輪の樒やフクバナを取り去って、カズラをねじ切るように荒々しく巻き上げたり下げたりをする。10分ほど格闘し、やっと切れると歓声に包まれた。独断で、山ノ神祭との習合と推察している。 |
上2枚;切れたカズラが見守る中、ウタイヨミ(ソヨナ)が行われる。謡譜を見ながら歌うのだが、阿弥陀さんがこれを歌いながら修行されたという言い伝えである。ソヨナというのは、歌詞にソヨナと付くからであるが、「〜だそうだね」という伝え聞きのスタイルの歌なのであろう。阿弥陀さんに奉納する歌、あるいはカズラ切りで山ノ神を迎えた後だから、山ノ神を接待する歌謡であろう。 |
上;オコナイの一部ともなっている、丸餅の競り。ご祝儀価格で競り落とされるのに驚いた。元々は自分たちが各家で一枚づつ搗いて持ち寄ったお餅だからだ。 |
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Last Updated 2013-02-01