兵庫県加東市下久米、 平成26(2014)年1月4日撮影 下久米の住吉神社境内の八幡神社のオコナイは、宮座制によってオトウと呼ばれる献鏡行事が維持されてきた。 当人は六つの「モヨリ」と呼ばれる字から3人が選ばれ、その中から当頭2人が選出される。当人が中心になって行うだけでなく、「ヤトイツケ」と呼ばれる若衆が6人加勢して行事を助ける。そのヤトイツケは本日の朝7時から八幡神社拝殿に居並び、当米渡しを行う。当米とは、当人になると宮田を耕作して、氏子にそこから収穫を配分するお米をいう。ただし現在では宮田でのお米ではなく、購入してお米を受け取りに来た氏子に5合づつ配分されている。非農家が当人に当る場合も有るからである。 ここのオコナイには、かなり特徴ある御神饌が供えられる。人形と呼ばれるソバの茎を束ねた本体に、昆布・干柿・伸餅・人参・柚子を刺した串を立てる。鏡餅は三種が用意される。まず大鏡餅は榊の枝に括りつけ、立て餅とする。割り木餅と呼ばれる長さ約1mの栗の木に、直径8センチほどの鏡餅を12個づつ挟んで結ぶ。伸べ餅として巾2センチ長さ6センチに切って、御神饌と朱印を捺した和紙で包む。これは氏子に当米渡しの時に授与される。白米と梅干で乳房の形を作るが、これはケイホウと呼ばれる御供である。 栗の木を削って男根を作る。これはインノコと呼ばれ、現在は行われていないが当米渡しの時に氏子の額に朱印を捺す、いわゆる牛玉宝印として用いられていた。 榊に結びつけた御鏡餅、茎に串にさした御神饌、牛玉宝印の存在など、、、これまでに滋賀県や島根県あるいは奈良県で見かけたオコナイのアイテムに共通する事例に、懐かしさを覚えたほどである。地域が離れていても、特色ある御神饌に共通性があるのは興味深い。地域独自の発展をした里神楽のような例と異なり、地域を越えて共通性ある御神饌が存在する理由、、、どう考えたら良いだろうか。。。 社参は当渡しの儀の後で行われる。当渡しの儀では三々九度と謡が厳粛に行われていた。 このように御神饌もシステムもしっかり行われていたオトウと呼ばれるオコナイであるが、このシステムも本年限りとなった。再来年からは当人も決めないで簡略化されて行うということであった。つまり平成27(2015)年のオトウでは、当渡しの儀は行われないということになる。そのことはすなわち、当米渡しや特色ある御神饌奉納の形をも変えていくことで、次回からはどのようになるか未定ということであった。 ※下久米の皆様にお世話になり、感謝申し上げます。 |
上;当米渡し。 6人のヤトイツケが並ぶ拝殿に、氏子は当米の授与を受けに来る。 |
上3枚;当渡し。 御神酒と膳。 |
上7枚;特殊神饌と社参風景。 |
上;社参し、八幡神社拝殿で祭典。 |
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Last Updated 2014-03-03