平成26(2014)年1月撮影 「雪そして花」という冊子がある。昭和61(1986)年に長浜城歴史博物館での特別展「湖北のまつり」の冊子である。この中に、伊吹のオコナイのマユ玉の写真が掲載されている。長さ2mほどのマユ玉に五色の短冊が付き、並べられた写真である。その美しい情景を知りながら、なぜ早く訪問しなかったかと我ながら不思議である。この度、 祭礼探訪 さんに誘われて訪問したが、よりによって来年の簡素化を控えて現行最期の年での訪問となった。見事なマユ玉が五本、場所によっては民家を頭屋さんとしておこなわれる素晴らしいオコナイに、早く訪問しなかった後悔がよぎった。ここ伊吹町は10組で構成されており、2組づつが一つの頭を成し、計5組がそれぞれ当宿を置いて、それぞれの組でマユ玉一基と御鏡餅を奉納されておられる。オコナイは2日間にわたって行われ初日は準備で、二日目に社参である。社参はそれぞれの頭屋から発した行列が一箇所に集合してから、まずマユ玉が勢い良く伊夫岐神社へ駆け込む。その背後から神職さんに先導されて御幣、御鏡餅が行列をなす。 このオコナイが行われる伊夫岐神社の御祭神は伊富岐大神、多多美比古命、素戔鳴尊らである。一説によると、伊吹山は出雲で 素戔鳴尊に退治された八岐大蛇だという。山が八岐大蛇で御祭神に素戔鳴尊が名前を連ねるとは、荒ぶる神を塞ぐ目的だろうか。また別説では伊富岐大神が蛇神ともいう。日本では蛇神は龍神とも混淆され、水の神としての神格をもつ側面もある。オロチ伝説だけでなく鬼伝説もある伊吹山は恐ろしい存在でありながらも、山からの水に頼って生活せざるえない民の複雑な信仰心の対象であったのだ。 (伊吹の皆様、お会いしました方々に感謝申し上げます) |
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Last Updated 2014-12-15