滋賀県長浜市湖北町今西(石田)、 平成27(2015)年2月
式内比伎多理神社の氏子によってオコナイが行われる。ここの特徴は、神社で太鼓踊りが奉納されることである。オコナイとして太鼓踊りが行われる例は他に類を見ないと思う。 午後6時、宿に集まった氏子らによって踊子にシャグマ(頭飾り)、バンバラ(背負いモノ)そして太鼓がつけられる。宿から神社へは高張り提灯を先頭に、鉦、太鼓などの順で社参する。御鏡餅は既に供えられており、餅花は廃止になっている。神社境内には大きな篝火が行列を待ち受けており、踊子は篝火の周囲を回る。踊り自体は形の伝承が途絶えたとみえて、踊られない。太鼓踊りの外見だけは留めている、という状態である。踊子が篝火周囲を3周ほどまわり終えた頃、境内に待機していた長さ2mくらいの松明が点火され、宿の近くまで戻って遺棄される。松明はまるで虫送りのような様相である。 このように太鼓踊りに松明と、異色なオコナイである。オコナイの日に、前年の慈雨と収穫への感謝に対する返礼踊りを奉納するというのは理解できるが、珍しい事例である。神社から宿への松明は、神仏の霊力を集落まで導く道案内の松明、あるいは本当に虫送りの予祝と考えても良いであろう。むしろ御鏡餅の扱いの比重が小さくなっており、その点も珍しいことと思った。 今西の皆様に感謝申し上げます。 |
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Last Updated 2015-02-22