■ 滋賀県長浜市西浅井町庄、 平成28(2016)年2月 撮影
庄には全部で10班有り、当番の班が山王神社「じんじ」の中心的役割を担っている。 庄では「オコナイ」と呼ばず、「神事(じんじ)」と呼んでいる。もともと仏教行事であったとは云え、神も仏も区別なかった時代の頃も、そのように称していたかは不明である。 かつては10班全てが御鏡餅の献鏡を行っていたが、現在では当番の班だけがお供えを行っている。 その点は変更がなされているが、日程は今でも三日間に及んでいる。初日が御鏡餅の調製そしてお社から当屋さん宅への神迎えの「御神幸」、中日は当家さん宅に御鎮座される神様へのご参拝。そして最終日となる。最終日が「還幸祭」となり、神様を当家宅からお社へお戻りになる行事である。つまり当家さん宅が神様の御遊のお仮屋となるのである。 初日、中日は平日となり仕事の都合でお邪魔できなかったので、撮影させて頂いたのは最終日の「還幸祭」である。 当家さん宅には神様の御鎮座なさる祭壇が設けられ、祓ぬさ・御幣・神軸・神鏡・神座(獅子頭)、そして餅花でも荘厳されている。 宮司さんによる祭典後、行列をなして山王神社に還御されていく。 玄関前には「御神幸」の日から三日間、当家の、そして神様が御鎮座される神聖な家という象徴でもある大榊(ふくらの木)を立てておく。木には餅花のように、御餅が花として付けてある。興味深いのは、この樹を還御の行列の時に、地面を引きずって行くことである。餅花を引きずるというオコナイは、初めて拝見した。もし大きいから持って行くのが大変だから、という理由なら身もふたもない。持つのが大変なら小さくして持ち易く変化したであろうが、そうなっていないのは、引きずるのに意味があるからだろう。行列の先頭は太鼓が進む。これは太鼓の音で待ち構える悪霊や邪霊を追い払うのである。そしてそれら魑魅魍魎が跋扈していた道を浄め祓いして進むのが、引きずる餅花の役目であろう。そのような浄化装置を備えた行列の発想が民間で行われていたということ、本当に興味深く思った。 庄の皆様には大変お世話になりまして、感謝申し上げます。 |
上写真2枚;当屋さん宅の祭壇と祭典。 |
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上写真3枚;山王神社への還御の行列。マイダマは地面を引きずって行く。 |
上写真2枚;還御の祭典。 |
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Last Updated 2016-03-14