日本!(近江の祭・火祭)
No.19 妹の春日神社祭礼
撮影場所&日;滋賀県東近江市妹、平成22(2010)年3月14日

滋賀県東近江市妹(いもと)の春日神社では、3月の第二日曜日を本日(ほんび)とした祭礼が行われる。地元では「雪かき祭り」と呼びオコナイとも考えられている。しかし御餅が主供物ではないので、オコナイのコンテンツにUPしないで、祭りにUPした。
ここの春日神社の氏子域は現在の集落でいうと、曾根・妹・中戸・鯰江の四つである。その四集落に、かつての宮座の大神社講・弁水講・神部講・田楽講・星生講・新幣講の六つの宮座がある。数の上から、二つの宮座を現在の集落で守る箇所がある。妹の弁水・神部、そして鯰江の大神社・田楽である。曾根は星生、中戸は新幣を守る。
ここの祭礼では、御鏡餅は前日に直径20Cmほどの御鏡餅が平年は12個、閏年には13個搗かれ、社参では平桶に入れられて肩に担がれて奉持されていく。
ここの祭礼の特色は、二点ある。
第一に、依代たる板御幣の形状である。2mほどの柄の先には紙垂の付いた一辺が50Cmのほぼ正方形の板が御幣となって付く。この板御幣は350年以上に渡って受け継がれてきたと云われ、図柄は鹿ということだが、掠れて詳細が不明である。この板御幣の形が雪かきの板に似ていることから「雪かき祭り」と云われるのだが、実際は除雪が必要なほどの積雪がある場所ではない。この板御幣、実はこの地域を潤していた用水と関係がある。用水を堰き止めたりする板を象徴していると云われる。現在の地名の妹は、元は井元と表記していたという。
第二の特色は、御鏡餅以外の御神饌の風変わりな点である。篠竹を半割りにして、そこに干し柿と栗を挿していく。栗は底刺しであるが、鯰江だけは頭刺しである。この栗と干し柿の季節感が不思議である。栗と柿といえば、当然ながら秋の味覚であって、新鮮な作物を御神饌に供するなら秋季祭であるはずだ。ここの祭礼日が元は秋に行っていたのが春に変更になったかと思いもしたが、オコナイの象徴たる御餅が登場することを思えば、やはり元々が春季の祭礼であったのだろう。書物によっては、栗は勝栗としての縁起物、餅は腹持ちが良く柿は消化を助けるから、という記載も見られる。これは私的には?な説明である。なぜなら、用水の存在の象徴たる板御幣の存在と御神饌の関連性が見られないからである。私的に説明するなら、これは諺を思い浮かべる。雨栗日柿・・・雨の多い年には栗の実入りが良く、日照の続いた年は柿の実りが良い、という諺である。この諺は、雨=水=日=太陽の関連を意味しており、用水路の運営から発した惣村の宮座の結束を、この栗と柿が強く示唆している と云えるのではないだろうか。雨・風・日が順調であれ、との祈願である。このような祭礼の場合、始めた人の記した理由の書物が古文書として残っていない以上、推測でしか語れない。既存の説に納得できなけらば、何が理由であるか、自分なりに考えて撮影するしか無いのである。では鯰江の逆さ栗は?既存の説では、鯰江城落城との関連での説明もあるが、やはり水利権などとの関連で考えるべきだろうが、私的には不明である。

上左写真;鯰江講の逆さ栗の御神饌。  上右写真;中戸講の通常の栗の御神饌。

上左写真;妹講、上右写真;曾根講。



各宮座を出た社参行列が神社へ向かう。春日神社の東から曾根&妹が、西から鯰江&中戸が揃って来て、参道前に結集する。そして太鼓橋を渡って神社へ入る。

上写真4枚;拝殿に奉納される板御幣や御神饌。やがて外拝殿(舞殿)で祭典が斎行される。


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Last Updated  2010-04-28