撮影場所&日;滋賀県東近江市蒲生岡本 梵釈寺、平成22(2010)年9月5日 午前2時半起床出発で、滋賀県東近江市蒲生岡本での野神祭り を拝見・撮影してきた。 町の成人男性が集会所に集合されたのが、午前4時半。そして午前5時に松明を手に、およそ700mほど離れた梵釈寺境内外れの、野神様祭場へ向かわれた。そこでは参拝の後に少年2人による地霊鎮めと豊穣の吉凶を卜う(うらなう)相撲が行われた。それから集会所に戻られ、一年間に及んだ当屋さんの引継ぎ(受け渡し)の儀の盃が交わされた。引継ぎの儀は、床の間に二基の箱型神棚が置かれていたが、その神棚の一方には山ノ神様、もう一方には野神様の御札が納められている。これを蒲生岡本の東西の集落の新当屋さん宅の神棚へ、移送するのである。神棚は、当主さんが口に懐紙を咥えた状態で先頭を歩き、集落の方々が後方から従われた。新当主さん宅では神棚を納めた後に、直会だった。西集落の25軒が山ノ神様をお祀りし、東集落の40軒が野神様をお祀りし、1年ごと順番に当番になるということである。東西が御祀りする神様が換わるということは無いそうである。 祭壇の神像で山ノ神は女神様で、鋤を持たれている。マタギの道具ではなく、農耕具であるのが興味深い。このような図は、代々受け継がれて描かれるのであろうが、図が変わってしまうことも多少はあるであろう。山ノ神様が女神様として描かれるという本質は変わらないかもしれないが、道具の図柄などは描く人によって変えられてしまう場合もあるかもしれない。しかし、この鋤は「民俗探訪事典(山川出版)」を見ると、大阪近辺の砂地で用いられる鋤で、関東型でないのが細かい点で凄いと云えば凄い。山ノ神様が何故に女性か、そして野神様がなぜ男神様であるか、謎であるが。ただ、滋賀県には山ノ神様が夫婦神として現れるという記述もあるが(「山の神と日本人」佐々木高明)、この場合は野と山で夫婦なのであろう。 滋賀県の日野町周辺の山ノ神祭り、野神祭りを数箇所これまで拝見しただけだが、場所によっては山ノ神様は祭るが、野神様の祭礼は殆ど無いとか、逆、あるいは両方有る無しとか、まちまちで面白いことである。時世と時間の経過で欠落したのか、元々そのような状態であったのか、興味深くある。 ※撮影させて頂きまして、蒲生岡本の皆様に感謝申し上げます。 蒲生岡本の「山ノ神まつり」は、⇒ 日本!(近江の祭・火祭)No.17 |
上写真;講員の到着する前の祭壇。 |
上写真;集落から松明を持って梵釈寺へ向かう。 |
上左右写真;祭壇前での祭礼、相撲。 |
上写真;祭壇の供物。 |
上写真;新当屋さんへ山ノ神様、野ノ神様の移送。 |
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Last Updated 2010-12-01