大津市には樹下神社において、御神饌を頭上に乗せて供進される祭がある。 その内から、和邇祭および「御鏡餅戴」と呼ばれる祭りの2例をまとめた。 (お世話になりました各地区の皆様に感謝申し上げます) |
■ 和邇祭り 滋賀県大津市和邇、 平成23&25(2011&2013)年5月 撮影
旧滋賀郡滋賀町和邇中の天皇神社での和邇祭りに、女性2人が白おこわの入った桶櫃を頭上運搬される。 ここ天皇神社は名前の通り祇園系のお社であるが、祭り自体は日吉山王(坂本日吉大社)系の祭りである。かつて比叡山延暦寺の力が強くなってくると、日吉山王系の力も強くなってきた。それに伴い、産土神社の神々を追放して「日吉十禅師(現在の樹下神社)」を氏神として祀る処が出てきた。しかし和邇は牛頭天王系であったため退けることなく主祭神のままとし、境内社として樹下神社を祀るようになった。 和邇祭りは和邇郷六区の祭りで、例祭には五社の御神輿が出る。 御神饌は、天皇・木元・若宮・樹下・三宮の御神輿にお供えする。最近までは各御神輿のために5人の婦人がそれぞれ白おこわを頭上運搬され、稚児5人が御食・御神酒・山菜等を運んでいたようである。しかし現在、稚児は2人の参加であった。その2人の母親が当家で社参前に籤引きを行い、天皇神社か木元神社のお供えとなる おこわ の入った御櫃を頭上に乗せて歩く。稚児は歩くだけで、かつてのように御神饌を運ぶこともない。しかしながら美しい着物姿の女性が行う頭上運搬には、惚れ惚れとしてしまった。神社では祭典が斎行され、各御神輿の前に献饌される。 |
■ 御鏡餅戴 滋賀県大津市北小松、 平成25(2013)年4月 撮影
旧滋賀郡滋賀町北小松の樹下神社例祭における御神饌の供進に、御鏡餅を頭上に乗せた頭上運搬が行われる。 区が五町に分かれているので、順番に長者町が選ばれる。そしてその長者町の中から選ばれた長者の家を出発した行列が、樹下神社と摂社の天満宮に献饌の行列が出る。行列は警護の金棒の少年2人と長者を先頭に、御鏡餅、世話役、神職、巫女、諸役員の順に行列する。 以前、同じく大津市山中町の「御膳持ち」と呼ばれる献進をUPした。そこも樹下神社であった。今回UPの2例も樹下神社が関係しており、山王系の献饌方式に頭上運搬という考案が有った可能性が高いことが、事例の共通性から分かる。 |
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Last Updated 2013-09-06