■平成25(2013)年7月23日、 滋賀県甲賀市甲賀町鳥居野
大原祇園祭りは例年7月23日に宵宮(灯籠祭り)、翌日が本祭(花奪い)として2日にわたって行われる。今回は宵宮を撮影してきた。
宵宮には氏子九地区より、それぞれ十基づつの灯籠を奉持して大鳥神社へ向かう。神社へは石灯籠の並ぶ一直線の参道もあるが、
各氏子らは大原川沿いの通称・祇園道を通って神社に向かう。各氏子域では公民館に集合して出立する処もあるが、今回撮影した鳥居野は多聞寺にて出立ノ儀の読経やお焼香の後に神社に出発する。お寺から神社へ向かうのは奇異に思われようが、大鳥神社は明治時代以前には祇園社と云われた神宮寺であり、天台宗河合寺の管理下に有ったから、仏教行事と考えてもよかろう。もっとも京都の祇園社も津島の牛頭天王社も仏教系であったから、仏教行事であることは不思議でないが。魔障を祓攘するテクニックは、特に密教系の得意技であった。
宵宮の灯籠祭りでは、拝見した多聞寺での読経の後に境内にて円陣を組んで太鼓踊りを踊った後に祇園道に出た。太鼓踊りにて灯籠に憑いた悪霊病魔は祇園道を通って大鳥神社まで運ばれる。そしてそこで憑いた灯籠は徹底的に破壊され、祓攘される。
祇園道を灯籠を頭に灯籠担ぎが進む姿は、久多花笠踊りや八瀬赦免地踊りを彷彿させる。 ある程度の娯楽性を加味しながら悪霊鎮撫の作法を民に授け、民と歩調を合わせた寺院の運営が伺い知れる。
|