■ 御湯式(湯立神楽) 平成27(2015)年6月7日、御田植祭にて
御田植祭において、早乙女が御神田に田植えをする前に巫女によって「御湯式(湯立神楽)」が舞われる。 里神楽の霜月祭りでは神庭に降臨された神々に御湯を献上する湯立が行われる。それに顕著に示されるように、祓笹で湯立された御湯が振り撒かれるのは浄め祓いだけでなく、御田植神事なら穀霊への湯の献上と思っていた。しかしそれだけではないだろう。振り撒かれる湯は雨粒のように御神田に降るのだから、これは田への慈雨の予祝であろう。しかし田は雨ばかりではダメである。太陽の日照が必要である。では日の光は? 有るのだ、湯立神楽において。湯を沸かす火は、日に通じる。そう、御湯式(湯立神楽)には、日も雨もセットで存在するのだ。 |
■ 観月祭 平成27年9月27日
舞楽舞台に御神饌を並べ、神職さんが円陣で顔を寄せ合って怪しげな祭儀をされているように見える様は まるで陰陽道の秘儀のようである。が実はこれ、公募で入選した和歌を披露されているのである。冷泉流の作法の独特な節回しによる披講ということだが、こんな秘儀のような恰好でされるとは、まだまだディープで知らないことだらけの日本!である。 拙者が多く訪問した国では ミャンマーの26回がある。ミャンマーではことさら満月の夜を大切にする。 満月の夜のうち、今年は3月4日がタバウン、5月2日がカソン、7月30日がワーゾー(雨安居入り)、10月28日がタディンジュ(安居明け)など祝日となる。満月に合わせて祝日が決まるから、毎年変わる。満月の日、パゴダ(パヤー;寺院仏塔)には手に花や蝋燭そして数珠を持ったミャンマーの人々が多く参詣して終日賑わう。 思えば日本ではミャンマーのように満月が祝日となることはないし、節目と考えられることがない。日本の至高神は太陽なのだから、もっともである。月読命は影が薄い神様である。 日本では農耕と太陽が密接に関連づいた祭儀となっているが、年中暑く太陽の光の強いミャンマーでは、満月の回数で時の移ろいを数えた方が生活に都合が良いのだろう。無論、満月には仏教儀式を伴う仏陀のいわれが伝わるが、月の満ち欠けの様が輪廻転生を表現し易い、という点もあるのかもしれない。 日本では満月は宗教行事より、風流の世界で尊ばれている。 私が好きな能楽の曲に【井筒】がある。女の怨霊がススキ生えうらぶれた井戸に月明かりで己が姿を映す妖しい姿は妄執の消えぬ寂しさと情念を感じる。月はやっぱり物語性ある夜の象徴だ。 ドイツはどうだろうか、、、。満月が祝日となる話は聞かない。 ワーグナー作曲 舞台祝祭劇「ニーベルンクの指環」序夜【ラインの黄金】で、ラインの乙女が水底で泳ぐところに差し込むのは、月明かりだ。やはり物語の発端には月夜がふさわしい。 |
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Last Updated 2015-10-07