■2014年5月3〜5日撮影
俯瞰と夜間撮影は、こちら
1977年の撮影以来、沿線を37年ぶりに歩いた。
当時、社会主義体制下での撮影で、警察に通報されて捕まるのではないかと過度とも思える怯えを感じながらの撮影だったことを思えば、今回は開放感に満ちた撮影だった。久しぶりに歩く道、変わらぬ家の姿などに断片的ながらも思い出し、懐かしい思いがしてきた。1977年、その当時の私は大学2年生であったが、今では我が子が大学を卒業していたり在学中だったりと、身辺の変化は時の流れである。しかし私の変化以上に東ドイツ(ドイツ民主共和国)という国が消滅した、この場所に住まう人々の変化は大きかったはずである。思い出の道を歩くだけでなく、前回は歩かなかった住宅街なども今回は散々歩き回ったが、立派で風格ある家並みが揃っていることに驚くばかりだった。東ドイツが消滅したのは1990年だから、24年前のことになる。東西ドイツ統一後に建った家もあるにはあろうが、東ドイツ時代からの家も多いはずである。歩きながら思ったが、社会主義国時代、はたして人々は貧しかったのだろうか。今に残る家並みや、1977年に歩いた記憶からも、答えはNein (No) であろう。衣食住、高度なレベルを保っていたのではなかろうか。ではなぜ壁は崩壊したのか?、、、プラスアルファを求めたのだろう。贅沢というプラスアルファを。確かに政治結社や出版の自由は制限されていたかもしれないが、それだけで壁は崩壊したのではないだろう。衣食住満ち足りた先に有るモノを満たすために、壁は崩壊したのだろう。そのように歩きながら思った。
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